2016年09月13日

【試乗】パッソ (FF/4AT)

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代車で使用した初代パッソ。走行距離77.000km。おそらくベースグレード。

総排気量996ccで71馬力を発揮する直列3気筒を搭載している。
軽自動車に毛が生えたサイズと動力性能のクルマと侮っていたが、その印象は覆される結果になった。乗ってみると分かるが、最低限の「普通車」に仕上げてある。4ATを載せているのも好印象。軽自動車とはクラスの差が分かるクルマに仕上げられており、町乗り特化のコンパクトカーとして作り込まれた潔さがある。運転席と助手席はコラムシフトとフットブレーキの採用によりベンチシートとなっているので広く感じる。

車体サイズは、最近のトール系の軽自動車に見慣れた感覚からするとむしろ小さく見える。積載量は、軽自動車で培われた技術が盛りだくさん…かどうかまではわからないが、スペースを有効利用しようと頑張っている感はある。5人乗りが可能だが、大人5人が乗るのは拷問プレイなので実質、四人乗りとなろう。しかし大人が四人も乗れば荷物の置き場所に難儀することになる。リアハッチを開けて利用できるリアスペースの容量はスズキ・スイフト並み。4人フル乗車で買い物に行ったら、足元に荷物を置くことは覚悟しなくてはならない。これに困ったあなたのためにパッソ・セッテが存在する…が、そこまできたら他のクルマを選ぶだけのような気がする。パッソは町乗り特化のコンパクトカーでしかないので、積載量に関しては割り切る必要がある。

71馬力のエンジンはこの車体にマッチしていて、NAの軽自動車のようなタルさがない。町乗りでの扱いやすさ重視のエンジンセッティングがなされているようで、少なくとも町乗り速度である0-60km/hは盤石。別に加速が優れているわけでも爽快な動力性能ではないが、不安を覚えるほど遅いわけではないという意味でバランスのとれた動力性能を見せる。直3のNAだが、エンジンを回しても軽自動車のような「あ、コレ3気筒ダネ」なガーッという音は意外にもしない。ム゛〜!!という音がする。回したくなる快音では決してないが、3気筒然としたガーッよりはマシである。意図的に軽自動車とは違う感じを出したのかもしれない。アクセルを踏み込んでから加速まではやや間があり、踏む→ム゛〜!→車体が加速 という三段ステップを踏む。動力性能的に過激なところは全くなく扱いやすい。

乗り心地はトヨタらしいというのか、女性向けというべき。よく言えば柔らかいが悪く言えばフワフワ落ち着かない。こうしたクルマが足回りを硬めにするわけがないのでこれでいいのだが、高速巡航すると不安定さをおぼえるであろう予感がした。やはり町乗り特化である。40km/hで直線道路を走行中に敢えてステアリングを素早く左右に切り、車体の動きを確認したところグワングワンと揺れて乗り物酔いをきたした。「そういう動きをさせるクルマではない」だけのことだが、峠を攻めるのは自重するほうがよい。ステアリングは軽く、路面情報を得るには心許ない。

個体差なのか仕様か分からないが、ブレーキの調整が難しい。カックンブレーキであって、ショックレスで停車させるための速度コントロールが難しいのである。もう少しリニアに効いて欲しいところ。エンジンブレーキは弱いので、積極的に利かせるにはコラムシフトを操作してローギアにする必要がある。コラムシフトはスロットマシンのレバーほど重くもないし節度があるので、普通に操作すれば目的のギアをすっ飛ばして間違えてしまうことはない。

ドライブに出かけたくなるような、走りを楽しむクルマでは全くない。クルマ社会に身を置く人の生活のパートナーである。軽自動車よりは車格が上で、5ナンバー普通車の性能が過剰である人向けのクルマと考えれば優秀で嫌味のない出来に仕上がっている。トヨタ/ダイハツは良い仕事をしたものだ。
 
posted by ぎゅんた at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 試乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする